電子楽譜と音程譜/度数譜

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11.電子楽譜の活用と普及

電子楽譜の活用と普及に関連することや、その問題点などについて説明をいたします。

  1. 電子楽譜と移調対応楽器
  2. 拡大鏡めがね(ブルーライト軽減)
  3. めがね型端末(ARメガネ・バーチャルメガネ)
  4. 電子端末の固定用器具と取り付け用譜面台
  5. 学習を補助する機能
  6. イーラーニング(eラーニング)
  7. 著作権保護の対策案は?


注意点:
  • 電子楽譜ファイルを、編集の自由度が低いPDFなどの「静的」、編集の自由度が高いMusicXMLやMIDIなどの「動的」と区別し説明をしています。
  • 「ソフト」と「アプリ」は同じ意味で、以前は(パソコンで)ソフトウエアの「ソフト」を使用することが多かったですが、最近は(スマートフォンやタブレットなどで)アプリケーションの「アプリ」を使用することが多くなってきました。
  • もしかしたら、標準形式(PDFやMusicXMLなど)の電子楽譜ファイルや標準の閲覧用アプリではなく、販売サイト(ネットショップ)ごとに独自形式の電子楽譜ファイルや独自の閲覧用アプリで対応するかもしれません。
  • 閲覧方法には、端末にファイルを保存する「ダウンロード方式」だけではなく、端末にファイルを保存しないで閲覧するだけの「ストリーミング方式」もあります。
  • 電子楽譜ファイルを仕様に対応させると、もしかしたら電子楽譜ファイルの価格が少し高くなるかもしれません。なお、1曲ずつ購入するのではなく、月額制の使い放題の場合には特に問題ないかもしれません。
  • 以下、2013年12月現在での説明です。電子楽譜にあまり詳しくないため、説明の抜けや間違いなどもあるかもしれませんので注意してください。

11-1.電子楽譜と移調対応楽器

ギターではカポ(カポタスト)を使用すると簡単に移調して演奏することができますが、ピアノでも電子ピアノを使用するとキートランスポーズという移調機能を利用して簡単に移調することができます。

市販の楽譜の中にはすべての曲をハ長調(KeyC)で弾くという曲集もありますが、移調に対応した楽器を使用すれば、すべての曲をその楽器で一番弾きやすいキー(ピアノなら調号のないKeyC)の楽譜で演奏することも可能です。(ただ、転調の問題点があります)

電子楽譜と度数譜の主な利点:
  • 電子楽譜ならば、楽譜の移調に対応することもできます。(閲覧用アプリが移調に対応している場合)
  • 度数譜(音程譜)ならば、コードネームを移調するだけで対応することもできます。(楽譜を移調する必要はありません)
楽譜の移調に対応:
  • 楽譜を自動的に(表示を切り替えて)移調する機能に対応するのか?(付加情報のレイアウトを崩すことなく移調することができるのか?)
  • それとも、原曲のキーとは別に、その楽器で一番弾きやすいキー(ピアノなら調号のないKeyC)1つだけ移調するのか? (表示の切り替え機能で対応するのか? それとも、別々のファイルで対応するのか?)
楽譜の移調の主な問題点:
  • 曲の途中で転調している場合には、ボタン操作1つ(またはフットスイッチなど)で簡単に移調できるようなタイプの楽器でないと、ギターのようにカポを取り外すようなタイプの楽器では転調に対応するのが難しいのでは?
  • 曲の中には調号を変更せず、臨時記号を使用して転調している曲もありますが、どのように対応したら良いのか?
  • 転調の多い曲は、どのように対応したら良いのか?
  • 移調すると指使いが異なることもありますが、運指番号も複数用意するのか? (自動生成に対応できなければ、特に必要ないのか?)

11-2.拡大鏡めがね(ブルーライト軽減)

特に、スマートフォンは液晶が小さいため、楽譜の表示も小さくなってしまいます。
そこで、レイアウトを変更し、楽譜をなるべく縮小しないで表示する方法もありますが、譜めくりが多くなるため、逆に使いづらくなってしまうかもしれません。
また、楽譜をスクロールさせる方法もありますが、テンポの速い曲では使いづらいという問題もあります。

そこで、拡大鏡の機能が付いためがねを使用して楽譜を拡大表示させてみてはどうでしょうか? (ブルーライトのカット機能付き)

なお、2013年12月現在、Googleなど各社が開発中(試作段階)の「めがね型端末」に、以下のような機能があるのかどうか詳しいことは分かりません。

主な利点:
  • 楽譜だけではなく、度数や運指番号などの付加情報も見やすくなり、演奏用としても使いやすくなるかもしれません。
  • もしかしたら、レイアウトを変更する必要もなくなるかもしれません。(小節数の変更機能がいらない)
  • 音楽以外の用途にも使用できます。(読書など)
  • 文字の拡大は、高齢者にも便利です。
  • ブルーライト軽減の機能もあります。
主な機能:
  • ブルーライトのカット機能。
  • 拡大して表示する機能。(拡大鏡)
  • 拡大と標準の切り替え機能。(拡大鏡)※対応できない?特に必要ない?
  • 拡大の倍率を変更する機能。(拡大鏡)※対応できない?特に必要ない?
  • 近視・遠視・乱視の対応。(オプション)※対応できない?特に必要ない?
主な問題点:
  • 液晶画面のドットが目立って、少し見づらいかもしれません。(解像度の高い機種を使用して対応する?)
  • スマートフォンを縦向きにして(レイアウトを変更せずに)普通の楽譜(A4)を拡大しても、もしかしたら小さくて見づらいかもしれません。(スマートフォンを横向きにして使用する?)
  • スマートフォンで使用するとき、拡大の倍率が合わなくて、もしかしたら見づらいかもしれません。(倍率が固定で、変更ができない場合)
  • 2013年12月現在発売中の(ブルーライトのカットと拡大鏡の機能が付いた)めがねに、もし拡大の倍率を変更する機能がなければ、倍率の変更に対応することはできないかもしれません。

11-3.めがね型端末(ARメガネ・バーチャルメガネ)

最近(2013年12月現在)、めがね型や腕時計型など身につけて使用する「ウエアラブル端末」の開発が進んでいます。(次世代の端末)
そこで、電子楽譜を立体的に原寸大で、鍵盤など楽器のすぐ横や上に表示することができると思われる「めがね型の端末」があると便利ではないでしょうか?
サングラスのタイプや、メガネのないタイプ(頭部装着型端末)もあるようです。

もし、原寸大で(1ページor複数ページ)表示することができれば、レイアウトを変更する必要もなくなるため、開発も楽になり、タブレットやスマートフォンよりも使いやすいかもしれません。

演奏用として使用するには、鍵盤など楽器のすぐ横や上に電子楽譜を表示するAR(拡張現実)の機能だけで十分だと思いますが、鍵盤などの楽器も映像にして専用のコントローラー(手袋型?)を使用し、完全にVR(バーチャルリアリティ=仮想現実)として利用するような活用方法も考えられます。

なお、2013年12月現在、Googleなど各社が開発中(試作段階)の「めがね型端末」に、以下のような機能があるのかどうか詳しいことは分かりません。
また、音楽だけではなく、いろいろな用途に活用できて便利になるとは思いますが、実際に使ってみないと詳しいことは分かりません。

主な利点:
  • 楽譜を鍵盤など楽器のすぐ横または真上に表示することができるようになると、楽器と指を同時に見ながらでないと演奏できない方でも、楽譜を見てリアルタイムに読譜しながら演奏することもできるようになるかもしれません。
  • もし、原寸大で表示することができれば、電子楽譜(A4サイズ)のレイアウトを変更することなく利用することもできます。(レイアウトの変更機能がいらない)
  • もし、原寸大(A4サイズ)で複数ページ表示することができれば、短い曲は譜めくりする必要がなくなります。
  • もし、原寸大(A4サイズ)だけではなく、(A3サイズなどに)拡大して表示することができれば、高齢者などにも便利になるかもしれません。
主な機能対応案(音楽以外の利用も含む):
  • ネットの対応。
  • カメラの機能。
  • ブルーライトのカット機能。
  • AR(拡張現実)の機能。
  • VR(仮想現実)の機能。
  • ウォークスルーの機能。
  • 2D(平面)だけではなく、3D(立体)にも対応する。
  • ジェスチャー機能(動作の自動認識)に対応する。
  • コントローラーの機能(動作・触感)に対応する。たとえば、アーム型(手袋型?)のコントローラーを指に装着して、(その動作を送信し)画面上で映像の鍵盤を弾くだけではなく、映像の鍵盤を触った感触も伝わるような機能など。(VRに対応)
  • 拡大して表示する機能。(拡大鏡)※対応できない?特に必要ない?
  • 近視・遠視・乱視の対応。(オプション)※対応できない?特に必要ない?
  • その他の機能
装着タイプ:

隙間なく利用した方が、バーチャル(仮想)な感覚を体感しやすいかもしれません。

  • めがね型(隙間がある)⇒AR(拡張現実)向け?
  • マスク型(隙間がない)⇒VR(仮想現実)向け?
備品:
  • めがね型の隙間を隠す商品を販売する?
  • ジェスチャー機能のワイヤレスタッチパッドを使用する?
  • 操作用のゲーム型コントローラー(無線?有線?)を販売する? (ゲームや簡単な操作用)
  • 操作用のアーム型コントローラー(無線?有線?)を販売する? (複雑な操作をする)(手袋型?)
データ転送方式:
  • データを大量に保存できる場合には、ダウンロード方式とストリーミング方式の両方が使用できると思います。
  • データを大量に保存できない場合には、電子端末やネットからデータを転送する、ストリーミング方式で対応することになるかもしれません。
使用上の注意点:
  • スマートフォンと同じように、歩行しながら使用すると危険です。
  • 頭に装着して使用するため、携帯電話と同じように、体への悪影響がないのかどうかという問題もあります。

11-4.電子端末の固定用器具と取り付け用譜面台

<電子端末の固定用器具>

スマートフォンのように小さすぎて譜面台に置けないとか、譜面台の安定性が低く揺れて電子端末を落とす危険性がある場合も考えられます。
そこで、電子端末(タブレットやスマートフォン)を譜面台に、固定するための器具も必要になるでしょう。

固定用器具の問題点:
  • 大型のタブレット端末(13インチくらい)から、小型のスマートフォン(3インチくらい)まで、すべての端末に対応することができるのか? それとも、大きさごとに別々の固定用器具が必要になるのか?
  • さらに大きい、2画面の電子端末にも対応できるのか?
  • たとえば、ピアノなら生ピアノと電子ピアノとキーボードの3つのタイプがありますが、同じ楽器のすべてのタイプに対応できるのか? それとも、タイプごとに別々の固定用器具が必要になるのか?
電子端末の取り扱い上の注意点:
  • 電子端末の種類によっては、折りたたんだり、取り外したりするときに、不注意で落とさないよう注意してください。
  • 電子端末を譜面台に置くとき(固定用器具に装着するときも含む)や、手に持つときに、不注意で落とさないよう注意してください。
<取り付け用譜面台>

楽器と楽譜を一緒に見やすくするために、たとえばピアノなら鍵盤のすぐ横に取り付けられる譜面台があると、特に読譜派の方には便利かもしれません。
ただ、タブレットやスマートフォンよりも、めがね型の端末の方が演奏用として使いやすいようでしたら、特に必要ないかもしれません。

使用上の主な問題点:
  • ガイド用の液晶画面や操作用のスイッチなどが、譜面台に隠れると使いづらくなるため、逆に邪魔にならないのか?
  • 譜面台が低くなると、姿勢が悪くならないのか?
  • 電子端末を上から見下ろすと、液晶の画面が見づらくならないのか?
取り付けの主な問題点:
  • たとえば、ピアノなら生ピアノと電子ピアノとキーボードの3つのタイプがありますが、同じ楽器のすべてのタイプに対応できるのか? それとも、タイプごとに別々の取り付け用譜面台が必要になるのか?
  • 電子端末を譜面台から落とさないように、安定性のある取り付け用譜面台ができるのか?

11-5.学習を補助する機能

電子端末と楽器をMIDIや音の自動認識で同期を取り、電子ピアノにあるような学習を補助する便利な機能などを、いろいろ取り入れてみてはどうでしょうか。
電子ピアノの機能については、2.度数譜ピアノの準備を見てください。
機能対応案については、動的なファイルの主な仕様対応案を見てください。

これらの機能は、イーラーニング(学習教材)で対応することになるかもしれません。

主な学習機能:
  • 電子ピアノにあるような学習を補助する機能を取り入れる。
  • ネットを利用した指導やセッションなどのシステムを構築する。
  • カラオケの自動採点システムと同じように、楽器演奏の自動採点システムを構築する。
  • 片手の練習から、伴奏付けの練習、さらにアドリブのセッションまで効率的な学習システムを構築し、ネットを利用した指導や、自動採点システムなどとリンクさせる。
  • その他の機能。

11-6.イーラーニング(eラーニング)

イーラーニングとは、ネットなど電子教材を利用した学習方法です。
詳しくは、eラーニング - Wikipediaを見てください。
主な対応案については、11-5.学習を補助する機能や、動的なファイルの主な仕様対応案(イーラーニングで対応?)を見てください。

ネットの利点を活かせば、リアルタイムに教わることも可能なので、近くに音楽教室がないという方には特に便利かもしれません。(通信教育)

<プラグイン対応>

電子楽譜ビューア(閲覧用アプリ)上で動作するように、プラグインに対応すれば、コストの削減だけではなく、販売促進にも効果的かもしれません。(プラグインに対応できる場合のみ)
ただ、電子楽譜の仕様を標準化し統一していないと、もしかしたらプラグインに対応するのは難しいかもしれません。

プラグイン対応なしプラグイン対応あり
教材用のアプリ(ソフト)を、新たにすべて作らなくてはならない。(コスト増)教材用のアプリを、新たにすべて作る必要はない。(コスト減)
電子楽譜ビューアとイーラーニング用のアプリを別々に使用すると、操作性が違うため使いづらいかもしれない。(不便)電子楽譜ビューア上でイーラーニングの教材が使用できれば、操作性が同じため使いやすくなる。(便利)
電子楽譜ビューアとイーラーニング用のアプリが別々だと、販売しづらいかもしれない。(販促低)人気のある電子楽譜ビューアに対応すれば、販売しやすくなるかもしれない。(販促高)

<ファイル対応>

電子楽譜ファイルを新たに作成するのではなく、販売されている電子楽譜ファイルを利用すれば、開発期間やコストの削減にもつながると思います。
ただ、電子楽譜の仕様を標準化し統一していないと、もしかしたらファイルに対応するのは難しいかもしれません。

ファイル対応なしファイル対応あり
電子楽譜ファイルを、新たにすべて作らなくてはならない。(コスト増)電子楽譜ファイルを、新たにすべて作る必要はない。(コスト減)

レイヤ対応の問題点:

PDFのレイヤ機能など、電子楽譜ファイルで表示の切り替え機能に対応していて、もし度数やディグリーネームなどの付加情報が、一部オプションでの追加対応だった場合には、以下のような問題があります。
なお、ストリーミング方式の場合には、オプションの追加で対処できると思います。

  • もし、ダウンロード購入した電子楽譜ファイルに、イーラーニングの教材で必要な(度数やディグリーネームなどの)付加情報が一部なかった場合には、オプションに追加対応して、再度ダウンロードするのか?
  • もし、ダウンロード購入した販売サイトが閉店していたらどう対処するのか?
  • 電子楽譜ファイルに付加情報があるないに関わらず、イーラーニングで必要な付加情報をすべて用意するのか?

11-7.著作権保護の対策案は?

違法な複製など、著作権をどのように保護したら良いのでしょうか?

ネット販売関連については、10.電子楽譜のネット販売を見てください。
印刷の問題点については、10-3.電子楽譜の印刷と製本(オンデマンド印刷)を見てください。

違法コピーの対策案:

以下のような対策を講じれば、ダウンロード方式でも、ストリーミング方式でも、違法コピーを防ぐことができるのでしょうか?

  • パスワードの設定だけではなく、電子楽譜ファイルのデータを暗号化する?
  • 販売サイトに接続して、購入者ごとに使用できる楽譜を管理する?
  • IPアドレスで顧客を管理する?
  • 使用できる端末を制限する?
  • その他の対策?


公開日:2013年12月28日(土)

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